こんにちは、北王スタッフの五十嵐です。
突然ですが、まずは以下の家具をご覧ください。
【漆(うるし)塗りのテーブル】天板の色は朱色。存在感がすごい。ちょっと和風な感じ。
【白い革張りのチェア】背中部分のかたちがカワイイ。
【天板の両端に樹皮がついた(耳付き)ダイニングテーブル】重厚感があります。
これら、札幌の家具屋さん「澪工房」がつくっている家具の一部。誤解を恐れずに言います、
これらの家具の組み合わせ、置く家を選ぶと思いませんか?
パッと見、漆塗のテーブルがどんな部屋にも合うとは思えません。白いチェアは単体ではいろいろな部屋に合いそうですが、漆塗のテーブルと組み合わせた場合はよくわかりません。耳付のダイニングテーブルは、いわゆる「余裕たっぷりの豪邸」のような家にしか合わないイメージがあったりします。
単体で見ると好きな感じでも、それを組み合わせて、実際に部屋に置くとなると話は違います。増してや、今まで見たことないような特徴的な家具だったりすると、なおさらイメージできないケースがあると思います。
先ほど紹介した組み合わせは、まさにそのケース。
正直、北王の家に置いた時のイメージもできませんでした。なので、北王の家にはあまり合わないかも
って思っていました。
そう、実際に置いてみるまでは…。
今回のknot web、最初はそこまでやるつもりじゃなかったのですが、
北王スタッフ・藤原の家にこれらの家具を置いて試してみることになりました。
2回にわけて、その一部始終をご紹介していきます。
最初は「家具の選び方」について、澪工房さんに話を聞きに行きました
冒頭でも触れたとおり、「家具の選び方」や「模様替え」で迷ったり悩んだりしている人はたくさんいると思います。サイズ・色・素材などなど…。いったいどんなものを選べばいいのか。家という空間とのコーディネート力が試されますしね。
そんな人たちへ向け、家づくりをしている北王が何か参考になることを提供できないだろうか?と思い、お付き合いのある家具屋さんに相談に行きました。札幌の家具屋さん、澪工房(みおこうぼう)です。
ダンディズムが溢れ出ている南勝重 社長と、
絶対にマニアックな知識持っていそうな雰囲気の酒井辰也さん
という、なかなか濃いお二人に対応していただきました。ともに木材マニア、木に詳しすぎです。
北王からは設計士の三浦と、営業・広告担当の五十嵐がお話を聞き、新婚ほやほやのカメラウーマン・長嶋(旧姓:前野)がたくさん撮影しました。
<澪工房さんのショップでお話してきました>
まずは家具のサイズ感について、いろいろお話しを聞きました
<←五十嵐 三浦→>
五十嵐:家具選びのポイントとして、サイズ感は重要ですよね。新築を計画中のお客さんからは「ダイニングテーブルの大きさ、どれくらいがいいんでしょう?」ってよく聞かれます。
<ダイニングテーブルとキッチンが並列の間取り テーブルはくるみ材、左の椅子:ZUKIチェア(ウォルナット材) 右の椅子:FRAGチェア(ウォルナット材) > 北王の建築実例:すっきりとシンプルに暮らす より
南社長:まずは生活のスタイルを聞きます。家族構成、ダイニングに家族が集う時間帯、リビングでの過ごし方。それによって最適な家具の使い方が変わってくるからね。
酒井:そうですね、スタイルを聞いた上で、間取りを見せてもらうことが多いです。それで無理のない範囲で大きめのサイズで提案することが多いですね。ダイニングは食事するだけでなく、仲間が集まってお酒を飲むこともあるだろうし、子供が勉強することもあるだろうし。余裕があるほうが使い易いと思います。図面上で幅1600mm想定でも、幅1800mmが置けそうならそれを提案しますね。
三浦:北王の設計では幅1800mmは置けるようにすることが多いです。場合によってはダイニングで家事をしたりってこともありますからね。
南社長:うん、洗濯物を畳んだりする場合もあるしね。幅1800mmあっても、二人並んで一人が新聞でも広げれば手狭だし。でも新聞を取らない家族なら、その点では必要ないし。
三浦:スタディカウンターとか家事カウンターとか、個別用途のための場所を欲しがる人が増えてきているけど、大きめのダイニングテーブルを置いて、そこでいろいろなことをするのでもいいのかなぁって。空間もスッキリしてくるし、大きいダイニングテーブルを買う予算にもなるしね。
南社長:ダイニングテーブルに限らず、うまくその人の生活のスタイルを聞き出した上で、それに合った提案ができる引き出しがあるかっていうのは、住宅の設計士も家具屋も力量が試されるところだろうね。
次に、家具の素材や色選びについて、いろいろお話しを聞きました
<澪工房の倉庫。様々な材料が保管されている>
五十嵐:素材や色についてはどうでしょう?例えば北王では本物の木(無垢材)の床を使うことも多いのですが、樹種について「床の木と、家具の木を合わせたほうがいいんでしょうか?」とか、色について「床の色と家具の色を合わせたほうがいいんでしょうか?」っていうのはよくある質問ですね。
<ウォルナットの床にウォルナット材のダイニングテーブル。椅子はホワイトアッシュ材のUZURA>
北王の建築実例:natural contrast より
南社長:樹種について、個人的にはあまり関係ないと思っています。自然素材である木はいろいろな素材に合う。デザインも木の特性を活かしつつ、長く使える飽きのこないものを意識しています。自慢じゃないけど、うちのUZURAはどんな組み合わせでも合うと思ってます。今までの色々な納品事例を見て、そう思っています。
<椅子:UZURA ダイニングだけでなく書斎など様々な場所に合う。いろいろな張地のパターンがある>
北王の建築実例 都市と自然を愛しむ家 より
酒井:色のことでいうと、カーテンはポイントの一つですね。そのイメージがあるとアドバイスしやすい。もちろん色や柄の組み合わせの相性はアドバイスしますよ。でもほとんどが好みかもしれません。
<いろいろな張地が選べる澪工房のソファ。画像は札幌出身のテキスタイルデザイナー・梶原加奈子さんによるコラボ商品。張地:カザネ ベージュ色 >
南社長:その人の服装とか雰囲気で「この色好きそう」っていうのはだいたいわかる。今までの人生で自分の好みにあった色って、頭のどこかにのこっているもの。それが好きな色のベースになっているから、やっぱり雰囲気に出るよね。
五十嵐:でも、あまりにヤバイっていう組み合わせにしようとしている人には?
南社長:好きならいいけど俺のせいじゃないからねって言う(笑) 基本的には長く使っても飽きないような色使いを提案しています。
さらに、家具の価格とか、リメイクについてもお話を聞きました
五十嵐:澪さんの家具は決して安くないですよね。正直、同じ用途・大きさで価格的に遥かに安い家具っていうのはたくさんあります。WEBで調べることも簡単になりました。
酒井:たしかに。「家具って大体これくらいの価格だよね」というもののベースが既製品・大量生産の家具であることは多いと思うので、そこと比較すると高いと思います。
<澪工房の加工場>
酒井:どこに価値を感じてもらうか?っていうことだと思います。希少な材料をつかわせてもらって、その空間に合わせたオーダーメイドとなると高くなるのは当たり前。ただ、だからこそ心地よい時間を過ごすことができたり、それによって家族の良い思い出が増えたり。
社長:無垢材だとメンテナンスをすれば、子供に引き継いで使うこともできる。受け継いだ子供が「あの時親父とこのテーブルで飯食べたな」なんて思い出すとか最高だよね。それっていい時間だと思う。
酒井:最近はリメイクも増えてますね。「おじいちゃん家で使っていたテーブルの高さを変えて使いたい」とか。ただ、そういうことができるのも、当時ちゃんとつくられた家具だけです。
五十嵐:少しだけ長い目で見ると、価格的にも安いってことになりますね。住宅も同じですね。ただ、わかってるんだけど目の前の価格に影響されやすいってのが人情というか。
三浦:結構多くの人から「ちょっと価格が高くても良い家具が欲しいのだけど、子供が小さくて汚してしまいそうで…。大きくなるまでは見送ろうかな」という話を聞きます。
酒井:最近、北王さんからの紹介でダイニングテーブルを注文くださった、K様もはじめは同じようなことをおっしゃっていました。
三浦:澪さんだったら何かいい提案してくれるかなと思ってご紹介したんです。北王からの紹介だと安くしてくれるのもありますけど(笑) K様とはどんなことを話したのですか?
<おじいちゃん家にあるような、テッカテカの塗装が施されたテーブル。リメイクする際は、まずその塗装を落とす>
酒井:K様は実家の和室で無垢のテーブルを使っていたようなんです。「汚れてもまたいい味なんですよね」みたいなことも仰っていて、無垢の家具が永く使えることを体験されているようでした。家具は永く使うほうが愛着が持てるし、お子様も思い出に残るのでは?というお話をしたところ共感いただいたようですね。
五十嵐:リメイクが増えているっていうのことはどう考えますか?
社長:いいことだと思う。家具って、思い出が刻まれる道具だと思う。傷つけるのも思い出だし。そんなにお金ないときに買ってそれをずっと使ってとか。そういうのが思い出になっていくものだから。それを引き継いで使い続けるとか素敵なことだと思います。
北王の家には、どんな澪工房の家具が合うんでしょうね?
五十嵐:例えば、この家、昨年末に新築した北王スタッフの藤原の家です。
<藤原家。もちろん北王で建築しました。ネイビーのソファ。グレーがかったセンターテーブル+同素材のダイニングテーブル。当時、家具選びに相当悩んでいる様子でした>
五十嵐:このリビングに澪工房さんの家具を置くとすれば、どんなのが合うんでしょうね?
酒井:うーん、建具も基本的にすべて白色で、明るくてシンプルなお部屋ですね。北王さんの家は良い意味でシンプルなので、家具を選ばないことが多いですよね。今の家具もすごく合ってると思いますし、よっぽど特徴的なものでない限り、どんな家具も合うんじゃないでしょうか。
三浦:そうね…、比較的どんな家具でも合いそうだね。よっぽど特徴的じゃない限り。
社長:まずは….、漆(うるし)テーブルかな。
社長以外:!!?
社長:タツヤ(酒井さんの名前)、ちょっと漆、持ってこい。
酒井:ああ…..いい….んじゃないですかね。(社長、結構マニアックなの選んできたな~)
五十嵐:結構….特徴的ですね….。(ちょっと和風というか、チャイニーズ的というか。ちょっとレベル高すぎないか?合うのか?)
三浦:すごく面白いね!かなり特徴あるけど。(正直、ちょっとわかんないや!)
社長:そして……豆【MAME】を合わせるか。白の張地のやつな。
酒井:ああ…いいですね…(豆【MAME】合わせてきたか~。この組み合わせ自体は合うけど、藤原さん家に合うかは…置いてみないとわからないな~)
五十嵐:ああ…いいですね(こっちはカワイイ感じ…。この組み合わせってかなり部屋を選ぶんじゃないか、だって、漆【URUSHI】+豆【MAME】!?)
三浦:この組み合わせ自体はすごく合ってる。他にない感じで面白い!うん、楽しいかも!(でも藤原君家に合うのか、ちょっとわかんないや!)
社長:あとダイニングテーブルは来週アサダ材が入ってくるだろ、スチール脚と組み合わせて使って……。椅子はUZURAを合わせるか。
せっかくだから、ちょっと藤原さんに頼んでさ、実際に部屋に置いて試してきなよ。
じゃあ、俺はそろそろ帰るわ。
社長以外:!!!
ということで、次回、藤原家に澪工房さんの家具を置いてみた様子を紹介します
このような藤原家に…
(藤原家のknot web紹介記事 → 北王スタッフが家を建てたのでいろいろ聞いてみました)
更にこんなイイ感じのインテリア小物まで添えてもらって…
これらを置いたらどんな雰囲気になるのでしょう?
プロのカメラマンに依頼して本気の撮影してきます。ご期待ください!
シリーズ記事
続き記事:札幌『澪工房』の家具。北王の家に合うの?vol:2