統一された美意識を持つオーナー様と、設計担当の安達が打ち合わせを重ねてつくりあげたI様宅。お引渡し後の様子をご紹介させていただきます。
夕暮れ時、目の前に広がる風景。この約100坪もの大きな敷地にご主人が惚れ込んで家づくりを進めることになりました。実は車を使えば10分以内に地下鉄駅があるような利便性も高い立地ですが、どこかゆっくりと時間が流れているような良い意味で札幌ではないような雰囲気でした。
黒いガルバリウム鋼板と、建物が一体になったカーポートが特徴的な外観。カーポート奥の中庭ともいえるようなスペースには、これからDIYでウッドデッキを作り上げる予定とのことです。
玄関ドアを開けると大きなコンクリートの土間空間が広がります。空間に合わせて黒く着色された暖房パネルは、土間とLDKを感覚的に仕切るような位置に設置。
土間は将来的に設置する予定のウッドデッキと気軽に出入りできるような位置にしています。大きな窓からは日差しが入り込み、置かれたグリーンが映える空間でした。
入ってすぐに目に入る壁には、過去に工事現場の足場で使われていた木材を貼り付け。木材ならではのエイジングが良く、空間の質を高めている印象でした。床材には巾が広いナラの無垢材を使っています。
靴をたくさんお持ちのご夫婦。シューズボックスは松の木で可動式のものをオーダーメイドしました。
リビングからキッチン方面を見る。武骨なスチールと温かみのある木材の組み合わせをベースにコーディネート。それに合わせ、天井には木毛セメント板を使いました。
収納計画はいわゆる「見せる収納」がメインのお宅。ご夫婦のフィルターを通して選ばれた道具たちは、その置き方を含めて「在るべくして在る」感をヒシヒシと感じさせました。だから物量は少なくないはずなのに、随分スッキリと感じるのだと思います。すごくつまらない言い方をすれば「かなりオシャレ」ってことです。(語彙が無く申し訳ありません…..)
左画像:ステンレス天板のキッチンはウッドワン社の『フレームキッチン』水栓の形状も印象的。 右画像:テレビボードはご主人のDIY。相当な腕前ですね….。照明のスポットライト・レールを利用して吊るされたドライフラワーがまた効いていました。
金属製のスイッチプレート+パイロット・スイッチをメインにご採用。こういう細かなところも打ち合わせを重ねていきました。
キッチンに隣接する洗面スペース。カウンターや引き出しは松の木をベースにオーダーメイド。数種類の木材を使っていますが、場所ごとにメリハリをつけて使うことで調和が取れます。
2階には洋服づくりが趣味の奥様がミシンを使う作業スペースがあります。壁は気軽にピン止めなどできるようにOSB合板を使い、クロスは貼りませんでした。
作業スペースと隣接するウォークイン・クローゼットも一面をOSB合板で仕上げ。フックを取り付けて、帽子をかけられていました。
夜の様子。中庭から玄関内を見た様子。窓で切り取られたように浮き上がる、木の壁とスチール階段、そしてディスプレイされた植物が相まって、「ちょっと普通の住宅ではない….?でも人が住んでそう….?」的な、良い雰囲気が出ていました。
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自分たちなりの美意識をベースに家づくりをすすめたI様。その後の暮らしも、まさにI様らしく創られていました。春先に完成するかも(?)しれないウッドデッキが大変たのしみです。
こちらのI様にご協力いただき、『ウッドワン社・空間デザイン施工例コンテスト』に応募させていただいたところ、設計担当:安達が【特別入選賞】をいただきました。大賞を選ぶための最終選考まで残ったとのことでした。ご協力いただき、誠にありがとうございました!
<取材+撮影:五十嵐、安達 ご協力:I様>