ウォークイン・クローゼット。
寝室の一部に設けることはすでに定番化しており、最近はランドリースペースに隣接させたいというご要望も多いです。
多くの方がその大きさで悩みます。「3帖あれば充分かな?」⇒「いやいや4帖は必要だよ。今の部屋を思い浮かべてみなよ!」といった会話は定番になっている感があります。
実際のところ、どれくらいの服が入るのでしょうか?
■とりあえず、社員の私物で試してみました。
早速、行動です。現在、公開・販売中のクオリア№02モデルハウス で試してみます。2Fの寝室に3.0帖のウォークインクローゼットがあります。
自宅から私物を運び出す五十嵐
車はパンパン ちょっと満足げです
クオリアモデルに運び込む
運び込む 運び込む
運び込んだ結果
運んでみると想定外の服の量
想定外です
五十嵐と前野の自宅から私物をありったけ持ち込みました。
最初は楽しかったのですが、運び込み終わった時点でこの企画の大変さに気付きます。企画・実行ともに五十嵐と前野の2人体制。もっと人を連れてくるべきだった。想定外です。
ちなみに用意した服の数は 合計: 約180着
「スーツやコートなど、厚手だからちゃんとしたハンガーに掛かっていた服:25着」
「その他クリーニング店からもらえるような普通のハンガーに掛かっていた服:おおよそ100着」
「衣装ケースに畳んで入っていた服:55着」です。
クオリアのウォークイン 通常のディスプレイ時
クオリアモデルのウォークイン・クローゼットは大きさ3帖。枕棚+ステンレスパイプが2列設置されていて、長いパイプ(9尺:実寸だと255cm程度)と短いパイプ(6尺:実寸だと160cm程度)が設置されています。
ちなみに3帖という大きさは169cmの人間が大の字で寝てもこんなに余裕があります
まずはひらすら服を掛けていきます
慣れると手さばきが高速化 何でも慣れるものです
なぜか服の中に紛れる前野 「まだまだ入りますね~」
ギュウギュウになるまで一心不乱に服を掛け続けました。
限界に挑戦
これでかなりキツキツの状態です
ギュウギュウの状態まで掛けると、長いほうのパイプで177着 掛けれました。
用意した服が180着だったので、長いパイプだけでほぼ全部掛けれました。
長さで換算すると短いパイプは120着程度かかることになります。
すごい収納量です。MAXでおおよそ300着が入ることがわかりました。
まさかあの量が片方のパイプでおさまるとは思いませんでした。
……ただ、このギュウギュウ状態で使い勝手を検証したところ、いくつかの支障がでました。
■支障1:服を掛けづらい
当たり前ですがギュウギュウな状態のところに、さらに服を掛けようとしても力任せにならざるを得ません。帰宅するたびにこんなことやっていたらすごくストレス溜まりそうです。
ギュウギュウだとハンガーの根本はこんな有様です
ジャケットを脱いで掛けてみます
服と服の間をこじ開けるようなイメージ
一張羅がシワシワです 残念です
■支障2:着たい服を見つけにくい
これだけギュウギュウだと、服によっては奥のほうにズレてしまっているものもあります。
お目当ての服を探しても、見当たりません
「あ、あった…」
ピンクのジャケット、無事発見されました
■支障3:服を取りづらい
ギュウギュウの状態だと服を掛けづらいし、見つけにくい。そして… 取り出しづらいです。
取り出したい服を掴み
シュッシュッと左右に動かしてやっと出てきます
このようにギュウギュウに服を掛けすぎると大きな支障がでてきます。
何より感じたのが「服がとってもかわいそう」ということ。せっかくウォークイン・クローゼットをつくったのに、お気に入りの服を満員電車の中みたいな状況に置くのはかわいそうです。
■検証:では、どれくらいがちょうどいいの?
安心して服をしまっておける、支障が出ない状態はどんな状態なのか。検証してみました。
長いパイプでギュウギュウに詰まっている服を、短いパイプ移動させます。
取る作業も高速。この技術、なにかに活かせるでしょうか
大雑把に減らして…
服と服の間隔をあけていきます
ほどよい状態だと、服と服の間にスッと手を入れることができます。これだと掛けやすく、見つけやすく、取りやすい。でもその間隔を広げすぎてももったいない。支障が出ないギリギリのラインを探ります。
結果……
合計:122着 < 厚手の服(ちゃんとしたハンガー):25着 + 薄手の服(普通のハンガー):97着 >
ギュウギュウの時の約300着から見るとだいぶ数は減りましたが、これくらいが服が一番喜ぶ状態だと思います。イメージとしては洒落たSHOPで売っている状態といったところです。
……..ただ、服の種類や数は人によって違います。なので、この最も良い状態における種類ごとの間隔を測定しました。
結果……
◎厚手の服(ちゃんとしたハンガー) と 厚手の服(ちゃんとしたハンガー) ⇒ おおよそ5.5cmの間隔
◎厚手の服(ちゃんとしたハンガー) と 薄手の服(普通のハンガー) ⇒ おおよそ4.5cmの間隔
◎薄手の服(普通のハンガー) と 薄手の服(普通のハンガー) ⇒ おおよそ2.5cmの間隔
以上が 最も良い状態を保つための間隔である という結論に達しました。
もちろん人によって持っている服は違いますが、ご自身の服の種類と数を把握すれば、おおよそ必要なクローゼットの広さを見当つけることができます。
■試した結果、思ったこと。
いちばんは感じたのは3.0帖のウオークイン・クローゼットの優れた収納力です。無造作に持ち込んだ大人2名分の服を全部掛けてもギュウギュウだと3/5程度しか埋まりませんでした。それを全体に分散させれば、ギュウギュウではないけれど最も良い状態とはいえない程度、いわゆる「ほどよい状態」くらいになるかと思います。ただ、今回持ち込んだ服すべてをお店で掛かっているような最も良い状態にすると掛からない服がありました。なので、持っている服はなるべくハンガーに掛けたい人、ものすごく服の管理に気を使いたい人、とてもデリケートな服をたくさん持っている人は、パイプを上下2段に設置するなどした方が良いと思いました。
それにしてもクオリアの収納力により自信を持つことができました。クオリア、たくさん入ります。
また、もちろん人によって服の量は異なりますが、3帖でこれだけ入ることを実感すると、今まで大きすぎるクローゼットを提案していたこともあるかなと反省しました。
明確な正解が無い「クローゼットの大きさ問題」を解決する手がかりになる検証ができたと思います。
【 文章:五十嵐・前野 写真:前野 試験者:五十嵐・前野 】