寝室につながるウォークインクローゼット。
北王の設計では、ウォークインの入口に扉をつけないことが多いです。
扉を付けない方がすっきりするし、必要性がそこまでないと感じているためです。
(※もちろん、お客様のご要望によって、扉をつけることも可能です。)
しかし、モデルハウスでご案内をしていると
「扉をつけないで、ニオイとかは気になりませんか?」とご質問を頂くことがあります。
なるほど…ニオイ…。それはあまり考えたこともありませんでした。
ということで、実際にモデルハウス(クオリア)で試してみました。
検証場所は、現在公開中のモデルハウス(クオリアNo.02)。
ウォークインクローゼットに私服を持ち込み、ニオイが気になるかどうか試してみました。
まずは外の新鮮な空気を吸い、嗅覚をノーマルな状態にしてから
子供部屋→寝室→ウォークインクローゼットへと進んでいきニオイをチェック。
まずは子供部屋で、新鮮な空気を吸いましょう
前野「スー・・・ ハー・・・ 冬は空気が澄んでるわぁ~」
ニオイをチェックしながら進んでいきます
子供部屋を出ました。…まだニオイは感じませんね
そのまま子供部屋を出て、寝室へと入ります。
…ニオイはしないけど何か気配を感じます
なんというか、いろんな柔軟剤が交じり合ったようなニオイがかすかにします
そしてウォークインの中へ…
はい。ニオイます!
写真では分かりやすく鼻をつまんだポーズをしていますが、実際は「臭い(くさい)」というわけではなく、「他人の家のニオイを感じる」という程度です。
…というのも、今回持ち込んだ8割以上は五十嵐の服。ニオイチェックを行ったのは前野。
「自分の家のニオイはわからないけど、他人の家のニオイは感じやすい」ことが関係していそうです。
これについては、誰しも経験があるかと思います。
実際に五十嵐も同等のチェックを行ってみたところ、「ニオイは気にならない」とのこと。
それはそうです。ほとんどが自分の服なのですから。
■検証結果
前野の場合:ウォークインの入口付近で、”五十嵐家の服ニオイ(柔軟剤)”を感じた。
五十嵐の場合:とくに気にならなかった。
■設計士にも聞いてみた
ニオイについてあまり気にならないのは分かったが、もっと根拠のようなものが欲しい…。
ということで、設計課のスタッフに話を伺う事にしました。
営業課 前野(以下:前)
前:「ウォークインクローゼットの入口に扉をつけないでオープンにしていることが多いですが、実際扉をつけるお客様もいらっしゃいますか?」
設計課 三浦さん(以下:三)
三:「うんうん、扉を付ける方はたまにいらっしゃいますよ。でも…どうして?」
前:「実は、『ウォークインに扉をつけないで、服のニオイは気にならないか?』という質問があって、実際に試してみたんです。試してみた結果、そこまで気にならないという結論に至ったのですが、あくまで感覚的な感想なので…。もっとしっかりした根拠が欲しいんです。」
三:「なるほどね~。そもそも、ウォークインクローゼットはニオイがしないつくりにしているんだよ。」
前:「ニオイがしないつくり…?」
三:「うん。正確に言うとニオイが充満しないような換気計画をしているのね。」
三:「換気には外の空気を中に取り込む給気と、中の空気を外に出す排気があるけれど、ほとんどの場合、ウォークインの中には換気口(排気口)がついているから、空気といっしょにニオイも外に排出されているのです。」
モデルハウス(クオリアNo.02)の換気図面
三:「たとえばモデルハウスの図面でいうと、寝室に給気口があってウォークインに排気口があるよね。ウォークインの天井で空気をひっぱっているイメージ。だからウォークインのニオイが他の部屋へ逆流していくことはないんだよ。」
前:「そうか…!ニオイの気になるトイレや玄関も同じ理論ですね?」
三:「そういうことです!ちなみに扉がついていても、扉の下には、アンダーカットといって少し隙間が空いているから、そこからしっかり空気の換気を行えるようになっているのです。」
アンダーカット(扉の下の小さな隙間)
前:「だから少し隙間を空けていたんですね!前から気になっていた謎が解けました」
三:「話がちょっとそれたけど、そういうわけで、ウォークインのニオイはそこまで気にすることはありません!」
前:「なんだかスッキリしました。三浦さん、ありがとうございます!」
前:「今聞いた話を記事にしたいのですが、三浦さんの写真を撮ってもいいですか?」
三:「え?写真?無理です。NGです。」
前:「そこをなんとか…」
三:「無理無理!あ…じゃあ、この前プロの写真家(古瀬桂さん)に撮ってもらったやつを使えばいいよ」
前:「承知しました!ありがとうございます!」
■最終結論
ウォークインクローゼットはしっかり換気がされているため、ニオイは気にならない。
基本的に入口に扉は必要ないだろう。
しかし、ウォークインが来客の目に触れやすい位置にある場合などは、扉をつけた方がいいこともあると思います。「来客時にごちゃごちゃしているのを見せたくない」という人は、ロールスクリーンなどで一時的に隠すのもひとつの案ですね。
ニオイが気になるかどうかは個人差がある課題でしたが、実際に検証して良かったです。
さらに設計課の話を聞くことで、換気についての知見も深めることが出来ました。
今後の課題として、実際に北王で家を建てていただいたお施主様の生の声を聞くと、さらにリアルな情報をお伝えできたと思います。「ご自宅のウォークインクローゼットを見せてください!」というのは少し気が引けますが…。
次回は、通常のクローゼットとウォークインクローゼットの収納率の比較について検討してみたいと思います。
【 文章:前野 写真:前野・五十嵐 】
関連記事:私物で試してみました 3帖のウォークインクローゼットには何着の服が入る?