無垢床についてしまった傷を自分でうまく補修できるのだろうか?気になっている方も多いかと思います。
先日の 「掃除機とかハサミとか。床に落としたらどれくらいのキズが付く?試してみました。」 では、床材にたくさんのキズをつけて検証しました。
例えばこんな具合でハサミで切りつけると……
こんなキズがつきました。これはカバ材。
白い切りキズが残りました。カバはもともと明るい色味なのでそこまで目立ちませんが、ハッキリと確認できます。
ウォルナット材だとこんな具合。
対照的に濃茶の色味なので、白っぽいキズが非常によく目立ちます。
今回はこのハサミで切りつけたキズの修復をしてみます。やってみるのは営業:五十嵐。建築会社に居ながら、床の修復をするのは初めてというまったくの素人です。お恥ずかしい。
■どうやって補修するの?聞いてきました。
昨今は便利なもので、スマホを手に取り「無垢床!傷!補修!」ってしゃべれば、たくさん検索できます。ホームセンターの補修コーナーでは、代表的補修用品『かくれん棒』を簡単に手に入れることができるでしょう。それらを使って目立たなくすることは充分に可能ですが、せっかくの無垢床にクレヨンみたいなものを塗りたくるというのも少し野暮な感じがしてしまいます。
じゃあどんな補修方法なら粋なのさ?! ということで、とりあえず無垢材を専門に取り扱うシーゲルさんに聞いてきました。
前野も同行。こんな狛犬がいるマンションの1Fです。一見、中国旅行に行ったかと思えるショットですが、ここは札幌市中央区です。
こんな店内
いろいろな種類の無垢床をはじめ、天井や壁に貼る羽目板も多数展示されています。
そんな中にはもちろん補修用品も。
うん、やはり専門店。ケア用品もそれっぽい雰囲気がプンプンしています。良い靴屋さんに置いてあるケア用品がそれっぽい雰囲気を出しているのと同じです。ケア用品だけでもちょっとカッコ良い、あの雰囲気です。
担当の千葉さんが丁寧に説明してくれました。
■キズがついた! どうする?
・浅い傷 の場合
⇒『セラリカ・コーティング・ピュア』を使うのがオススメです。傷を着色するのでなく、周囲と馴染ませるようなイメージ。床材のケアも兼ねれるのが良い感じ。ちょっとのキズであれば綿棒を使って塗ってあげるのが良いですよ。この大きさで1本3,000円(税抜)。1本で12~15帖という目安ですが、そこまで多く使わなくてもいいかと思います。体にも優しいです。
これが『セラリカ』 食用植物成分100%のワックスとのこと。体に安心。シーゲルさんでも売っていますし、東急ハンズでも扱っているようです。 メーカー詳細ページ
・もうちょっと深い傷 の場合
⇒『ルビオモノコート』で着色しましょう。セラリカで色を馴染ませる程度では効果が薄い場合ですね。これもわずかな範囲なら綿棒が使いやすいですが、範囲が大きい場合はスポンジもいいかと思います。900円/本(税抜) 20ml入り。 こちらもシーゲルさんで扱っていますし、メーカーwebより通販も可能です。
・けっこう深い傷 の場合
⇒ まずサンドペーパー(紙やすり)で削りましょう。「削った先も木」の無垢床だからできることですね。キズの程度にもよりますが、♯1000程度の細かいもので様子見ながらが良いかと思います。その後、『セラリカ』で馴染ませるか、着色してある床なら、その色に近い『ルビオモノコート』で着色するのが良いかと思います。
いきなり訪問したのに、千葉さん、ありがとうございます。早速、会社に帰ってキズついた床材たちを復活させてあげようと思います。
■とか言ってるけど、本当になおるの?
さて、社内に戻り『セラリカ』と『ルビオモノコート(チョコレート色)』を用意。ちなみにこれらのケア用品は工事課の中道と石橋から拝借。彼らが持っている根拠はなかったのですが、必ず持っていそうな気がしていました。彼らはこういった類のものをドラえもんのように所有しています。おかげさまでさっそく実践できます。
■ハサミの傷を『セラリカ』で補修してみる
浅い傷・ちょっと深い傷・結構深い傷 と3段階の補修方法を教わったわけなんですが、冒頭のハサミのキズがどの程度のキズといえるのかによくわからないので、とりあえず浅い傷の時の『セラリカ』を塗ってみることにしました。
洗顔フォームのようなチューブを開けて臭い確認。良い香りではないですが、臭いわけでもありません。
綿棒に塗りたくる。黒い綿棒は営業:長尾のものを勝手に拝借しました。
こんな具合です。
キズを中心に塗り込みます。
白くなっていたキズの部分に溶剤が染み込み、色が濃くなっていきます。
セラリカを綿棒で塗った後。キズはカサブタみたいな雰囲気になりました。
キズ口の保護はできたと思いますが……正直まだ結構目立ちますね。ただ、キズ口周辺にチラホラと散見された「何かを擦ったような跡」はボヤけてわからなくなった気がします。
やはりハサミをギーッとやってついたキズは浅いキズとは言えないのでしょう。『セラリカ』を塗るだけでは補修したとは言えないレベルかと思いました。家具を引きずってついたちょっとした跡などには有効だと思います。
『セラリカ』自体は補修用品ではなく、ケア用品ですしね。
■ハサミの傷に『ルビオ・モノコート』を塗ってみる
次はコイツ。『ルビオ・モノコート』を試してみます。CHOCOLATE(チョコレート)色です。(飲み物ではありません)
蓋をあけて綿棒にちょっとだけつけます。ルビオ・モノコートは独特の香り。撮影してくれていた前野は「クサっ」って言って離れていきました。気を付けましょう。
チョコレート色に近そうなウォルナットに塗っていきます。
- キズに標準を当てて…
- 塗り始める
- ちょっと色、違ったなぁ…
- とりあえず拭いて馴染ませます
結果…….
塗る前よりも目立ってしまいました……。 一目瞭然ですが、色味が違いますね。細ーいボールペンで線を引いたような見た目です。ウォルナットとチョコレート色、似ていると思ったんだけどなぁ….。がっっ、
そもそもこのウォルナットは着色したものではありませんでした。木、自体が濃茶なのです。そこに着色するためのルビオ・モノコート<チョコレート>を塗っても、びったり馴染むわけがありません。
ルビオ・モノコートの着色でキズを目立たなくさせる場合、どんな仕上げがされた床材なのかを確認の上、色の選択は慎重になるべきかと思います。まったく同じ色というのは厳しいので、近似色を塗って布で拭くように周囲と馴染ませればだいぶ目立たなくなるだろうなと感じました。
■ハサミのキズにサンドぺ-パーをかけて、セラリカを塗ってみる
さて、次が一番やってみたかったこと。サンドペーパーによる補修です。「削った先も木」の無垢材ならではですよね。
先ほど、『セラリカ』を塗ったカバの床材。キズが確認できます。
これにサンドペーパーをかけていきます。
- ♯600のサンドペーパー ♯1000は持っていなかった
- ペーパーがけ1
- ペーパーがけ2
- キズが消えてきた…..
- 2分くらいでしょうか、ひたすらかけました
- キズが消えたところでセラリカを塗る
すると……!!
おぉ~~~。違和感なし。普通にキズが見当たりません。画像ではわかりづらいですが本当です。見た目ヨシ・手触りヨシ。嬉しくてちょっとした満足感に浸ることができました。
ハサミでギーっとつけた結構深いキズは、サンドペーパーがけ+セラリカ塗り でほぼ完全に補修可能 ということがわかりました。
無垢床のキズ、恐れるに足らず です!
■実物を手で確認してみませんか?
この検証で使った床材も クオリアモデルハウス に置いてあります。自由に手に取って確認してみてください。ちなみに、クオリアモデルハウス は水回り以外は全室カバの無垢床です。明るく、足触りも良く、意外と補修も簡単なカバ材。ご興味あれば、モデルハウスで体感してみてください。
■次は、ソースとかコーヒーとかを床材に垂らして、放置した結果を報告します。
次回は床材検証の第3弾として、数種類の材料に <コーヒー(無糖)、りんごジュース(果汁10%)、和風たまねぎドレッシング、中農ソース > を垂らして放置したらどうなるのか?を試してみましたので、またknot webで報告させていただきます。
< 文章:五十嵐 写真:前野 >