床によくモノを落としてしまう人、いますよね?それが原因でお気に入りの床にキズがつくことを心配している人も多いのでは。新築やリフォームの際、それが不安で泣く泣く好きな床材を諦める…なんて人もチラホラいました。
でも実際のところ、どれくらいのキズがつくのでしょう?
もしキズがたいしたことなければ、不安も解消されるのではないだろうか。
逆にものすごくキズつくようであれば、もっと慎重になったほうがいいかもしれない。
早速、試してみました。
用意した床材は以下の4種類。
・カバの無垢材 → 色:明るめ 強度:やわらかめ と言われている。
・ナラの無垢材 → 色:カバよりは暗め 強度:硬めと言われている。
・ウォルナットの無垢材 → 色:濃茶 強度:この中では一番硬いと言われている。
・複合フローリング → 表面は本物の木ではないもの。木目がプリントされたシートが貼られている。でもそのシートに耐水性や耐熱性があり、ワックスフリーと謳われている。各メーカーで同等品が販売されているが、北王で標準採用している[アイカ工業・タフユカNEO]という商品で試験。
無垢材のサンプルは札幌の無垢材専門の建材屋・シーゲルさんから貰ってきました。
床材に落としたのは、以下の5種類。
1:掃除機
2:果汁100パーセントの缶ジュース(アルミ)
3:木製のかぼちゃのオモチャ
4:結構、鋭利な先端を持つハサミ
5:家のカギの束
画像にはほかにも色々なモノが映っていますが、冷静に考えると水筒なんかは落としたら確実に割れそうなのでやめておきました。
1:掃除機を落としてみる
まずは大物の掃除機から。壁に立てかけておいた掃除機が急に倒れる… とか日常あるあるですよね。本体を持ち上げて落としてみました。
持ち上げて…
落とす!! 主に車輪の部分が当たっていました。
駆け寄ってチェック。
結果…
画像を見てもわかる通り、パッと見だとほとんどわからないレベルでした。よく見ると車輪の円形の跡がついているのが確認できましたが、そんなに気になるものではありませんでした。結構な重量がある掃除機だったので、正直もうちょっと激しい結果になるかと思っていましたが、ある意味期待外れでした。
2:果汁100%の缶ジュース(アルミ)を落としてみる
子供が手を滑らせて落下…っていう場面ありそうですよね。缶自体が破損して、初っ端から「プッシャーッ!!」って噴水状態にならないか不安でしたが、4回落としてもギリギリセーフでした。
オレンジ+ピーチ+ストロベリーのミックス果汁100%。おおよそ1m10cmの高さで手を離しました。
膝まづいて確認
結果…
ほとんどわからない!! 落下直後はなんとか確認できるものの、ちょっと目を離して2回目に見るとすでによくわからないレベル。
アルミ缶は問題なしだと言えます。むしろ、あと1回落としていたら缶のほうに穴が開いて「プッシャーッ!!」ってなりそうなくらい缶が凹んでいたので、そっちのほうが気になりました。
3:木製のかぼちゃのオモチャを投げつけてみる
よくある木製のオモチャ。「モノを投げる喜び」に目覚めた子供が持つと脅威。
こんなのです。真ん中がマジックテープになっていて、包丁で切って2つに分けれる楽しいやつです。
結果…
カバ → 指先で示す部分が凹んでいるのがわかるでしょうか。桜の花びらくらいの大きさで凹みました。
ナラ → 画像ではわかりずらいですが、少しだけ凹みました。ただ、カバほどではなく、ナラ>カバという強度の差が出た印象です。
ウォルナット → 実物を見るとやっとわかるレベル。画像ではほとんどわからないのではないかと思います。オモチャ投げつけだけで言うと、強度=ウォルナット>ナラ>カバ という定説通りの結果が出ました。
複合フローリング → ちょっと汚れが付いたくらいのレベル。ほとんど凹んではいませんでした。こちらも複合フローリング>無垢床という定説通りの結果が出た印象です。
4-1:結構、鋭利な先端を持つハサミ を落としてみる
机の上に置いていたハサミに手が当たって床に落ちるとか… たまにありますよね。
実験では、刃を下にして垂直に落下させました。
結果…
4つの床材すべてにおいて、ハッキリと認識できるキズがつきました。深くキズ付く分、床の内部も少し見えてきます。なので、表面と内部の色が違ったりすると結構目立ちますね。濃い塗装をした床だと顕著かと思います。無垢材の場合、木の内部に節があったり、空洞になっている場合もあるので、そういった場合も注意が必要ですね。また、タフユカのような複合フローリングの場合、「割れる」ような状態になることも多いです。
4-2:結構、鋭利な先端を持つハサミ で「ギーッ」とやってみる
キズつけることを「お絵かき」の一種だと認識しているアートな子供だと脅威。
結果…
目立ち具合に差はあれど、どの床材でも白っぽい傷跡がつきました。ナラだとあまり目立たなかったことと、ウォルナットだと非常に目立ったことが印象的でした。何か重いものを養生なしで引きづった場合の参考にもなるかと思います。
5:カギの束 を落としてみる
両手に荷物いっぱいで帰宅して、不安定な状態でカバンからカギを取り出して、なんとかカギを開けて家に入ったものの、手を滑らせてカギを床に落としてしまったことがある人は私だけではないはず。
設計:三浦、笑顔でカギを落とす。
金属なので硬いですが、軽いためか落とした時の音もライトな感じだったのですが…… 結果…!!
カバ → 結構、目立ちました。画像ではわかりずらいですが、カギ×3個の細かい傷が狭い範囲に一気に付くので目立ちます。また、傷の深さもハサミには及びませんが、軽いカギにしては深いなという印象でした。
ナラ → カバほどではありませんが、同じように意外と深い傷が集中的に3つほど付いたので目立ちました。
ウォルナット → カギだけでなく、キーホルダーの金具も当たったのか、いくつかの細かい傷が一気につきました。深さはそれほどではありませんが、ほかの床材と比較すると非常に目立ちました。
タフユカ → 画像のとおり、ほぼ傷つきませんでした。おそらく、表面のシート部分がカギの先端をうまく滑らせたのではないかと考えられます。
■まとめ
今回の試験結果と評価を一覧表にまとめてみました。
結果から見ると、「硬く・鋭利なモノを落とすと目立つ傷がつきやすい」と言えます。そして、一番重かった掃除機を落としても全然傷は目立たなく、軽いカギを落とした時の傷は結構目立つという結果からいうと、 硬く・鋭利>重量 ということも言えます。
■傷ついた床材を触ってみませんか?
これを言うと元も子もないですが、どのくらいの傷が気になるかということには個人差があります。我々が気にならなかった掃除機落下の傷が気になる人だっていると思うのです。なので、実際に見て触ってみることを圧倒的にオススメします。触ってみてわかること、たくさんあります。実際に試験に使った床材のサンプルは、公開中のクオリアモデルハウスに置いてあります。毎週土曜・日曜10:00~17:00公開中です。平日も事前予約で見学可能ですよ。
■次は この傷を修復してみます。
今回の試験でついたいろいろな傷、手軽に修復はできるのでしょうか?日頃のメンテナンスとも関係してくるこの話題、近日中に実際に試して、またknot webで報告しますね。
【文章:五十嵐 写真:福崎、前野 試験者:三浦、福崎、後藤、藤原、上原、前野、五十嵐】